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悪魔の微笑み 27 白貴と会える

12 父のガード

翌日、上重が家へ戻ると、
珍しく真奈美がまた捜査についていきたいと言う。
今かかっている堺殺しの捜査は、これまでのものとはまるで違う。

だめだと言うと、どうしても行きたいと執拗に言う。
これは普通の捜査ではない特殊捜査だ。
警視庁の威信をかけた総力戦だ。

捜査中の他の事件は、総監命令ですべて中断された。
真奈美は一ヶ月前の真奈美ではない。
上重は彼女がこれまでとは違う、何かを考えているのを感じた。

それでも家にいろ!と命じた。
真奈美はおとなしくそれに従った。
これも今までにはなかったことだ。

真奈美には白貴の意図が分かっていた。
自分とニューヨークへ行こうと誘ったのは本気だ。
行く前に、捜査本部長の叔父と堺の上司上重を
密かに始末するつもりなのだ。

絶対そうはさせない!
右掌に重傷を負って、どうやって二人を殺ると言うのか。
分からないが白貴ならやる。

離れて上重を見張るしかない。
アメリカ海兵隊特殊部隊の白貴の父の捜査は
警視庁からFBIを通じて進んでいるはずである。

三日後の午前十一時、本庁との打ち合わせを終えた杉並署署長服部が、
捜査本部へ行こうと迎えの車に乗ろうとした。
車道の反対側から飛来して来た黒いナイフがその首を貫通した。

警護の景観と運転手が救急車を呼び、
反対側の歩道へ走ったが、地下鉄、車、逃走いずれの
方法を使ったのか犯人の目撃者はわからなかった。

警視庁本庁前で起きた事件に周囲は騒然となった。
五分後に救急車は到着したが、
救急隊員の手により、その場で署長の死が確認された。

上重と捜査員の動きを数十メートル離れて尾行していた真奈美は、
顔色を変えてスマホを握る二人に異変を知った。
まだ傷の癒えない白貴がどうやってやったのか、
真奈美には見当もつかなかった。


red18
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