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悪魔の微笑み 27 白貴と会える

15 二人のFBI捜査官

三日後の夜、二人のアメリカ人が家を訪ねて来た。
もちろん、捜査で父の上重はいない。
二人はバッヂ付きのFBI身分証を見せて、
流暢な日本語でマック・テディとメル・両角と名乗った。

メルは日系二世らしかったが、
明るい金髪の美女だった。
二人を居間へ招き入れた。

会ったその時からマックの目の底に
あの禁断の光があることを私は見抜いていた。
それを見抜いた私を、これまでの日本の殺人者たちと同じように
彼もまた見抜いていた。

質問するのはメルだけで、
マックは片時も私の目から視線を外さない。
これがFBI捜査官の捜査手法なのだろうが、
今度ばかりは少し事情が変わっていた。

「こちらの事情はシロキ服部に伝えたが
あなたの返事が聞きたい」
私は未成年者だ。

アメリカの捜査官であるなら余計に、保護者である上重を
この場に同席させなければならないのは分かっているはずだ。
それとも今回のような特殊な状況の場合は
アメリカの捜査官は法を無視する権限を与えられているとでも言うのか。

「考え中です」
と私は答えた、が大嘘だった!
アメリカへ行く気など全くない!

「あなたには少し難しいだろうが、
これは高度な政治判断を前提とした話なのです」
つまり、私と父と警視庁が了解しなくても、
日本政府を使って強権を発動すると暗に告げているのだ。

そっちがそう出るなら、アメリカでもワシントンでも
FBI本部でも断じてあの力を私は見せない。
その会話の間も、マックは私の目を食い入るように視線を離さない。

「君は私の目の中に、何を見た!」
いきなりマックが言った。
私は日本殺人者相手に何百回となく経験して来たことなのだが、
マックに取っては初めての体験なのだろう。

「殺人者です!あなたは人を殺している!」
メルが驚いて私の目を見た。
そこには、日本人女子高生の黒い瞳があるだけだった。

私の目を見据えたまま、マックは英語でメルに言った。
「本部へ報告しろ!この娘の秘めた力は、
シロキからもたらされた情報よりずっとずっと重要だ!」

私はむごたらしく堺を虐殺した白貴を、悪魔だと思っていた。
だが、目を見開いて驚愕する二人のアメリカ人捜査官を見ていて、
本当の悪魔は自分ではないのか!と私は思った。









red18
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